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春の記憶 如月の夢 幕間1

2009年11月20日 20:40

 満月は、獣の心を狂わせるのだろうか。

 野犬の遠吠えを聞きながら、葛原貞義はふと思った。
 と、目の前でまた一人、奇妙な技をかけられて崩れ落ちる。
 
 そこで貞義は男たちに声を掛けた。
「もうよい、行かせよ」
 言葉と同時に配下の者たちが解いた囲みの間を、風の如く黒い影が走り去っていく。
 黒い影――ただ一人の男を相手に、既に五名が倒されていた。

 「あの男が、ここまでやるとはな」
 呻き声を上げている配下の者たちの惨状に眉一つ動かさず、貞義は独りごちる。

 葛原の安泰を第一に考えるのであれば、ここで貸しを作るよりもこの機に乗じて相手を根絶やしにした方がむしろ得策――貞義は、自分の考えが間違っているとは露ほども考えなかった。
 だが、殺すには惜しい。一方でそう思わせる男の獅子奮迅振りだった。

 しかも貞義は、先ほど西の夜空を照らした光の意味を誰よりもよく判っていた。
「愚かな」
 木蘭が宝玉の霊力を使い切ってしまったことは、容易に想像がついた。
 
 貞義は踵を返し、男達が慌てて後に従った。
  


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