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物語の嘘・拘りの嘘 (嘘と秘密 後編)

2009年04月14日 00:38

(以下は「如月の宝玉」本編読了した方を対象にしており、強度のネタバレと楽屋裏的描写を含んでいますのでご了承ください)
 それでは登場人物の嘘と作中の秘密についての蛇足説明、後編です。


4) 藤原徹の嘘
「いや、いません」 (桜3)

 藤原徹が四月の転校初日、自己紹介の時に彼女がいるか質問された時の答えです。
 つまり、この時は徹には実は彼女がいました。はい。

 本文からは全く読み取りようのない、しかも本筋と関係ない情報ですが、作者的にはこの設定に拘っています。徹はこの後、急速に登場人物の一人に惹かれていくのはご存じの通りですが、結果としてそれまで付き合っていた子とは学園祭の前に別れてしまうことになるのです。

 で、何故転校初日にこんな嘘をついてしまったかですが、ここで本当のことを言えないのが徹であり、敢えて言えばそれでこそ男だろう(力説)と考えています。

 但し、徹の台詞を聞いてクラスの少女たちはどう思ったかというと、「当然だろ(by高宮)」とまではいかないまでも、「まあ、あたしは全く関心ないけど」くらいにあっさり受け止めたと想像します。
 なので、徹の嘘と作者の拘りは空回りしているかもしれません……

 支離滅裂気味ですみませんが、「作者の描写力はさておき、徹の気持ちには激しく同意だ」という僅少なる同志の言葉を待ってます。


5) 瓜谷悠の嘘
「俺も鳴神だ」 (夢見の宝玉7)

 唖然とした方、そうだと思っていた方、そんな台詞は記憶にないという方、それぞれどのくらいの割合だったでしょうか。この瓜谷の台詞は嘘でした。

 これは、春分の夜中に凶獣(に憑依された相手)と対峙して敗北感に苛まれる徹に向かって、瓜谷が告げた台詞です。

 瓜谷悠は勉強こそ苦手ですが、視野が広く戦局が読める男です。単なる二枚目キャラという訳ではありませんし、ただの鼻歌好きでもありません。
 彼を形容する表現は色々ありますが、一言で言えば策士です。その瓜谷がこのシーンで選択したのが、嘘をつくことだったのです。
 
 この嘘は本編を一読しても判別し難いと思います。が、この男だったらどうするかを作者なりに悩んで出した結論がこれでした。

 以前、作家の森博嗣氏が自作のとあるシーンを訊かれた際に登場人物が嘘をついている旨の説明をした、との記事を読んで、なるほどと思ったことがあります。作者の理解は不正確かもしれませんが、そんな記憶も今回の背景としてありました。

「そうか、これですっきりしたよ」という同志の方が、一人でもいるといいのですが。

 ちなみにリタは、瓜谷が嘘をついたことを理解しています。蛇足に蛇足を加えれば、リタが瓜谷の台詞を無言で肯定しているように見えたのは徹の勘違い――というか瓜谷の真意を理解した少女の、「消極的な嘘」です。


 さて、どんどん理不尽さが増す蛇足説明のトリを飾るのはこの人です。


6) セシルの……嘘?
「計算は合っています」 (向日葵15)

 これかよ……と呻く声が同志の方から聞こえるような――
 主役級を押さえて堂々の一位はセシルです。本編では活躍の場が少ない彼女ですが、さすが有能な秘書兼お目付け役(そして時に家政婦、時に運転手)。やる時はやってくれます。

 これは八月に徹と楠ノ瀬麻紀がリタの家に遊びに行って、リタの母親が十五年前に結婚したとの話になった際のセシルの説明です。

 さて、事実関係を整理します。リタの母親が帰国したのが三月末とすると、その直後にリタの父親と出会って恋に落ちたとしても四月、そしてリタが生まれたのがその年の十一月十八日……

 あり得なくはありません。が聞く者に何とも微妙な想像を抱かせます。というわけでこの台詞は嘘ではなく「嘘?」とさせて頂きました。

 ちなみにセシルの発言に関して徹もリタも全く疑問を持っていません。麻紀ちゃんは……まあ彼女は大人なので(以下略)。

   * * * * * * * *

 これで説明は以上です。
「あれ、何で黒髪の少女が出てこないんだ?」、と思われた同志の方はいらっしゃったでしょうか。

 彼女には、「荻原有理の特技は嘘を付くこと」という興味深い台詞があるのですが、実は作者には、その時彼女が徹に出した三択質問の正解が判っていないのです。
 流石ファンタジー、これぞファンタジー、ということでご了承下さい。


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