スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

誰がその連を選ぶのか (桜2)

2008年09月30日 00:27

 キサラギノホウギョク
 少女が発した言葉は、異国の呪文のように徹の耳朶に響いた。
 抜けるように白い肌の色。 ビスクドールを連想させる硬質な表情に、見る者を貫く青い瞳と高く通った鼻筋。そして何より、燃えるような赤い髪。
 
 人目を惹く。
 その言葉では、少女の姿を伝えきることはできない。白黒フィルムの中で、そこだけが総天然色――手垢のついた表現だが、まさにこの場の彼女に相応しかった。

「誰がナンバーワンを選ぶのか、教えてほしい」
 少女には、瓜谷以外の存在は眼中にないかのようだった。
 瓜谷は、その視線を正面から受け止めていた。細めた目も、端を吊り上げた口元も、先程の笑顔と全く同じ形であった。が、身に纏う雰囲気が一変している。
 
 面白い。

 徹の目には、瓜谷の口がそう動いたように見えた。無意識に身震いしてしまう。じわり、講堂の緊張感が高まったところで、瓜谷の横にいた宇田川が自然な動作で立ち上がった。
「一年生の学年主任の宇田川だ。私から説明しよう」
 落ち着いた張りのある声が、講堂に響く。同時にそこかしこから、安堵の吐息が漏れる。

「確かに年度最後の一ヶ月、学園にある青い玉を一組の連に預ける伝統がある。例えるなら、持ち回りのトロフィーのようなものだ」
「誰がその連を選ぶのか」
 宇田川が言い終わるのも待たず、少女が尋ねる。

 赤い髪の少女は言葉に不自由していないようだが、日本で育ったわけでもないことは明らかだった。抑揚が少なく、話す内容も比較的シンプルである。それが逆に、聞く者に切っ先の鋭さを感じさせ、ある種の緊張感を生み出している。

「学校が選ぶ」
 宇田川の答えもまた、簡潔だった。
「勘違いして欲しくないのは、青い玉――如月の宝玉と呼んでいるが――を預かる連が、絶対だとは限らない点だ」
 ここで宇田川は、一呼吸置いた。
「教師には教師の見方があり、君達には君達の見方がある。その数だけナンバーワンがあると思ってもらって、構わない」

「要は先生方が選ぶということですね。成績が重視されるのですか、それとも課外活動ですか」
 一年生の中から新たな声がする。代表の挨拶をした、杉山という名の車椅子の少年だった。穏やかな響きだったが、何故かよく通った。

「全てを重視する。これでは納得できないかな」
 宇田川がそう説明した後で、瓜谷が愉快げに付け加えた。
「去年と一昨年は、俺の連が宝玉を預かった。こいつは参考になるかな」
 宇田川は瓜谷を一瞥すると、言葉を続けた。
「いずれにせよ自らのベストを尽くすことだけが、宝玉を手に入れる道だ」
 
 赤い髪の少女は、このゲームへの参加を全員の前で宣言するかのように、きっぱり答えた。
「わかった」
 そのターコイズ・ブルーの瞳は、一層青く輝いていた。車椅子の新入生代表も、後に続いた。
「僕も了解しました」

 壇上の宇田川は、二人の新入生の言葉に静かに頷くだけだった。
 だが徹には、その光る眼が何故か自分を見つめているように感じられた。
スポンサーサイト

第一章 桜/ 必ず男女で組んで下さい (桜1)

2008年09月27日 23:58

 四月六日、参宮学園での初日。講堂に座った藤原徹の耳に飛び込んできたのは、背の高い男がステージに並んだメンバーに出す合図だった。

「ワン・ツー・スリー、ゴー!」
 ドラムスティックを高らかに打ち鳴らす音と、続いて講堂中に鳴り渡るアニソン・ヒットメドレー。
 一列に講堂に入ってきた新入生達は突然の大音響に足を止め、やがて堪え切れずに一人、また一人と吹き出していく。

「お願い、お願い~」
 ステージでは先ほど合図を出した男がその整った顔を大袈裟に歪め、オーバーアクションで両手を前に突き出す。徹以外の在校生達はいつもの事と驚いた風も無く、歓声を上げ、手拍子を取る。

 横では、軽くウェーブのかかった茶色い髪の少女が、
「瓜谷先輩、やっぱ最高!」
 そう言いながら大笑いしていた。

「今日もいい天気ぃっと、センキュ」
 瓜谷と呼ばれていた男は絶叫し終わると、背筋を伸ばしてマイクに向き直った。いつのまにか新入生も全て入場し終えている。どうやら、これがこの学校の流儀らしかった。
「それでは只今から入学式を始めます。在校生起立」
 歌い終えた男の声は意外に低く、そして落ち着いていた。
 
 徹がショーのような始まりに呆気に取られている間に、入学式は淡々と進んでいた。車椅子の少年による新入生代表の挨拶も終了し、壇上では予想通り瓜谷と名乗った司会の三年生が連の組み方について説明を始めていた。

「明日から二週間、つまり四月十九日までに、一年生は自分が組みたい上級生を見つけて連を申し込んで下さい。会って話してもいいし電話でも手紙でもいい。但し、心優しき上級生を脅さないように」
 瓜谷悠は、場慣れた調子で左右を見渡した。
 男にしては長い髪と、均整の取れた長身。鼻筋の通った顔をくしゃっとさせて笑う姿が、見る者を惹きつける。

「上級生からのアプローチは禁止。申込みに来た一年生と組むか、断るかを選ぶことしかできません。提出した自己PRを信じて、首を長くして待っているように」
 再び瓜谷は歯を見せた。つられて在校生席にも笑いが広がる。

「相手を見つけないのも自由。但し、行事によっては一人の参加になるかもしれません」
 今度は新入生の席からざわめきが広がる。
 一人での行事参加。想像したくない響きに、徹は腹の奥がぎゅっと緊張した。

「四月二十日からは二年生の番です。一年生と組まずに残った二年生は、自分が組みたい三年生に連を申し込んで下さい。締切りは今月一杯です」
 
 徹は、転入案内に書いてあった説明を頭の中で反芻した。
 参宮学園では、自主性を尊重すると共に学年を超えた連帯を強めるため、異なる学年での組による活動を奨励しています。これを当学園では「連」と称しています――か。

「一年生諸君には上級生の自己PRを載せた冊子を用意したので、講堂を出るときに受取るように。以上、質問はありますか」
 瓜谷は手際よく説明を終えると新入生席を一瞥した。入学案内をよく読んできたのか、それとも周囲の卒業生から既に聞いているのか、手を挙げる者はいない。

「そうだ、大事なことを言い忘れた。男同士、女同士の連は認められません。必ず男女で組んで下さい」
 瓜谷は、その方が楽しいだろとばかりに片目を瞑る。そんな気取った仕草にも嫌味が無い。
「どうやら質問もなさそうなので」
 瓜谷がそう言いかけたとき、少女の声が響いた。

「ナンバーワンの連になれば、如月の宝玉を手にすることが出来るのか」

 講堂中の視線が集まったその一角、赤い髪を長く伸ばした外国人の少女が、挑むように立っていた。

小夜子様がみてる (物語について1)

2008年09月27日 00:23

 本ブログに掲載を始めたオリジナル小説「如月の宝玉」ですが、ネタばれ無しでどう説明するのがいいか、ちょっと悩みました。

 で、いきなりですが、自分の中では「六番目の小夜子」+「マリア様がみてる」です。
[小夜子様がみてる (物語について1)]の続きを読む

雪と茶色い子猫と――高校生か (運命の輪3)

2008年09月26日 00:07

 道場を出ると、いつしか雪は止んでいた。裏手の鬱蒼とした林にも木漏れ日が差し込んでいる。
(さて、帰るか――)
 伸びをした徹の耳に、悲しげな鳴き声が届いた。声をした方を見上げると、薄茶色の塊が目に入る。
 
 子猫であった。
 
 恐らくは生後数か月も経たない子猫が、山桜の老木に登っていた。子猫が自力で登るにしては少々高い。根元に建っている古びた石碑から、駆け上ったのか。通り過ぎようとすると、子猫が再び悲しげに鳴いた。
 
 確かに高い。徹は辺りを見渡したが、足場になるものは石碑以外になかった。子猫が飛び移れればいいのだが、急に高さに気付いたのか、進むも退くもままならなくなったらしい。
 
 雪と茶色い子猫と――高校生か。
 映画の題名のようだと思いながら、徹は石柱に近づいてみた。供物こそ捧げられていないものの、古びた墓石のようである。どちらかと言えば痩せ型の徹ではあるが、登れるかどうかとは別の問題として、墓石に足をかけるのは躊躇われる。

(これしかないか)
 徹は、首に巻いていた緑のマフラーを外した。リュックを地面に下ろすと左手にマフラーを持ち、ゆっくり全身でリズムを刻み始めた。
 
 ざん、ざん、ざん。
 ざざん、ざざん、ざざん、ざざん
 
 一挙動を分割し、その半挙動をまた分割する。分割を繰り返して小さな波の束となったところで、体を滑るように動かす。ベタ足のまま背筋を伸ばし、両足で緩やかに円を描く。独特の呼吸法と共に、垂らしたマフラーに己の意思を流し込む。
 息を鋭く吐き出したその瞬間、振り出したマフラーは一本の棒に姿を変えた。
 
 ホースに勢いよく水を通した。感覚的にはそう表現するのが近いだろう。武道の心得のある者であれば、気を通したと説明するのが一番容易いかもしれない。
 徹は深緑色の棒と化したマフラーを、子猫のいる枝先へと差し出した。

 が、子猫は動かなかい。

「大丈夫だって、乗っても折れない」
 子猫はまだ動かない。
「ほら、大丈夫、保証する」
 子猫は更に警戒する。首の後ろの毛を逆立てているのは、気のせいだろうか。
「早くしろよお前。これ、そんなにもたないんだってば。折れちゃうんだよ――」

(……あれ?)

 徹が子猫一匹説得できない自分にあきれ始めたところで、子猫は、意を決したように飛び乗った。マフラーごと一気に子猫を引き寄せると、徹は小さく息を吐いた。
「頼むから、爪立てるなよ」
 子猫をそっと離すと、子猫は一声鳴いて林に消えていく。徹は額の汗を拭うと、校門へと戻ることにした。

 結局徹は最後まで、自分を見つめる視線に気づくことはなかった。

目次に戻る

あたしは結構競争率高いと思うよ (運命の輪2)

2008年09月24日 00:26

 参宮学園の大きな特徴は、「連」の存在である。
 生徒達は、四月のうちに相手を見つけて連を組む。条件は三点。自分と違う学年から選ぶこと、相手は一人であること、そして異性を選ぶことである。即ち、連とは年齢の異なる男女のペアに他ならない。
 
(そして、全校百八十組の中で最も優れた連が毎年一組選ばれる――か)
 徹は、先ほどの説明を反芻する。ちょっと変わった学校、それが正直な感想だった。

 徹は校舎の外に出ると、校庭の右奥にある柔道場へと足を向けた。先ほどまで練習があったのか、電気がついている。徹は辺りに誰もいないことを確認すると、ダウンジャケットと靴下を脱いで中央まで歩んだ。
 
 目を軽く閉じる。
 暫く深呼吸をした後、目を瞑ったままで、徹は鳴神流の一段を舞い始めた。自分の身体が、周囲と緩やかに溶け合っていくのを実感する。校門での先ほどの不快な感触を洗い流すように、丁寧に、無心に舞い続けた。

 どれほど経ったろうか。

「いいね、それ」
 徹は突然の声に身を硬くした。目を開けると、柔道場の入口に涼しげな瞳の少女が立っていた。
 髪は肩口で切り揃えた艶やかな黒髪。白いシャツの胸元には灰色と臙脂色のストライプのリボン・タイが覗く。制服のスカートからのぞいた脚は軽く左右に開かれ、しなやかに長い。

「新入生? 感心感心。もしかして武道やってた?」
 先輩――いや同級生かも。とにかく綺麗な子だ。
「あたし、荻原有理。合気道部の今度二年生。で、武道やってたの?」
 少女は初対面の徹に屈託なく話しかけると、軽やかな足取りで近づいてくる。

「日本舞踊を少し。えっと、勝手に入ってごめん」
 徹は口ごもりながら答えた。彼女の対人距離感覚は、自分とは相当異なるようだった。一方踏み出せば黒髪に触れることができるその距離に、徹の鼓動は一気に激しくなる。
 荻原有理と名乗った少女は、軽く右手を上げた。

「別にいいって。入学前から道場を覗きにくるなんて、いい心掛け。でも先輩には『ごめん』じゃなくて、『すみません』だよね」
「いや、えっと――」
 有理は右手を軽く頬にあて、可笑しそうな表情を浮かべた。少し切れ長の大きな瞳が、聡明さを示すかのように絶え間なく動く。
「君、名前は」

「藤原徹……です」
 同学年であることは分かったが、また何か言われそうな気がしてつい丁寧語になった。
「藤原徹君か。合気道部はいつでも君を待ってるからね」
 そのまま、少しだけ顔を近づける。黒髪から微かな香りが漂う。

 勧誘用の笑みと判っていても、その破壊力は十分だった。有理はその威力を知ってか知らずか、軽く首を傾げると、駄目押しの一撃を放った。
「あと、連に誘ってくれてもいいけど、あたしは結構競争率高いと思うよ」

 呆けた表情でだらしなく立ちつくす徹の前で、有理は再び右手を上げて指だけ軽く前後に動かす。
「じゃ、またね」
 徹の反応を待つことなく、道場の入口に置いた赤いスポーツバッグを抱えると、外に出て行く。
 ふわり、黒髪がなびく残像が徹の目に焼きついた。

(年下に間違われたのか)
 とはいえ、昔から年より一つ二つ幼くみられることも多かった徹である、状況を考えると、誤解した有理を不満に思う気持ちはない。むしろ、同じクラスになる可能性を想像して知らずに頬が緩んだ。
 オギワラユリ、オギワラユリ――忘れないように、今聞いたばかりの名前を繰り返す。

 有理との出会いの前では、今日の出来事が全て彼方に霞むかのように感じられた。

魔障を切り放ち給え (運命の輪1)

2008年09月20日 23:55

 その日は朝から雪が舞っていた。

「あと一週間もしないうちに新学期なのにな」
 藤原徹は呟きながら、ハイカットのスニーカーに足を通した。黒いダウンジャケットの襟元に深緑色のマフラーをしまい込む。ぼさぼさの髪を手で強引に整えると、気持ちを奮い立たせるように一気に立ち上がって玄関を出る。

 新しい家から参宮学園高校までは四駅。十三夜駅で電車を降りると、地図を片手に握りしめて歩き始めた。この季節は、雪が降っても決して寒くない。
「春日医院の角を右に曲がって、コンビニの前の横断歩道を左へ――」
 左手でくしゃくしゃの地図を眺めながら学園につく頃には、徹の背中にうっすらと汗が滲んだ。徹が何の特徴もない古びた校門を通り抜けようとした、その時だった。

(魔障・を・切り放ち・給え)
 ぞわり、全身の産毛が一瞬に逆立った。膝下から首筋まで皮膚が粟立つ。
  咄嗟に後ずさった徹は、泥混じりの雪に足元を取られ、強かに尻を打った。痛いと思うより先に、素早く徹は立ち上がり、左右に素早く目を配る。が――

 何もなかった。
 誰もいなかった。

 耳元で囁かれた声の主はどこにもおらず、男だったか女だったかさえも既に思い出せなくなっていた。痛みだけが、ただ残っている。こんな経験は初めてだった。徹は、前方に長く延びる並木道をしばらく眺めていたが、その後は何の異変も起こる気配がない。

 在校生が数名近づいて来るのを見て、徹は気を取り直して職員室に向かった。

   * * * * * * * *

「これで転入手続きはすべて終了だよ、藤原君」
 柔和な笑みを目の奥に湛えた宇田川隆介の言葉に、立っていた徹はふと我に返る。どうやら暖房のきいた職員室で、ぼおっとしてしまったらしい。
 宇田川は自席に座ったまま徹を見上げ、徹を安心させるかのように頷いた。

 年の頃は三十歳前後だろうか。中肉中背の身体を品のいいスーツで包んでいる。
 休み中もスーツで出勤なんて教師の仕事も楽じゃないな。そう思いながら視線を移すと、磨き込まれた茶色い革靴と、同系色の腕時計のバンドが目に入った。 
 机の上には、印刷したばかりのプリントの束が無造作に置かれていた。横のマグカップにはコーヒーが注がれており、その香りが鼻腔をくすぐる。

「新学期は来週の月曜からだ。僕も数学を担当するから、授業で会えると思う。前の学校でトップクラスと聞く実力を、存分に発揮してくれたまえ」
 宇田川の穏やかな声を聞きながら、徹は曖昧に首を振った。
 こんなとき姉のように、畏れ入りますとでも言えると大人なんだろうか。

「もう一つ。新学期が始まると、さっそく「連」を作ってもらうことになる。他の二年生に比べてハンディがあるかもしれないが、あまり気にしないように」
 今度は、自分でも何と言うべきかわからない。仕方が無いですよ、だろうか。

「折角だから、校内を色々見ていくといい」
 宇田川は笑みを湛えたまま徹の顔を眺めていたが、そのうちに、どこか遠い目になった。

「……宇田川先生?」
 宇田川は不思議そうな徹の表情に気付くと、申し訳なさそうに顎を掻く。
「済まない。少し前のことを思い出してね。職業柄、この季節はどうもいけない」
 宇田川が照れ隠しのように冷めかけたコーヒーを啜ると、ワイシャツの袖から高級感のある機械式の腕時計が覗いた。
「昔の人も、さまざまのこと思い出す桜かな――と詠んだくらいだから、日本人なら誰でもかもしれないが」

「あら。宇田川先生、芭蕉ですか」
 横から中年の女教師が、嬉しそうに声を掛けてくる。
 徹は軽く会釈をして、職員室を出た。

ヒロイン画像

2008年09月20日 20:20

小説 如月の宝玉に登場するヒロイン3名の、キャライメージです。
マイピクを利用して、ハルノ◇イズミ様に書いて頂きました。

有理160 荻原有理 (おぎわらゆり)

リタ160 リタ=グレンゴールド (Lita Glengold)

有為160 荻原有為 (おぎわらゆい)

おまけでバナー画像も作りました。(2008年12月2日)

如月の宝玉バナー1

如月の宝玉バナー2

如月の宝玉バナー3

拍手のお返事(2009年)

2008年09月20日 11:59

(本記事は過去の作成日付となっていますが、内容は適宜更新されます。)
[拍手のお返事(2009年)]の続きを読む

拍手のお返事(2010年1月~)

2008年09月20日 11:58

(本記事は過去の作成日付となっていますが、内容は適宜更新されます。)
[拍手のお返事(2010年1月~)]の続きを読む

拍手のお返事(2011年1月~)

2008年09月20日 11:57

(本記事は過去の作成日付となっていますが、内容は適宜更新されます。)
[拍手のお返事(2011年1月~)]の続きを読む

序章 運命の輪/ 我が刹那たる命を捧ぐ (運命の輪0)

2008年09月20日 01:04

 木蘭は低く詠唱しながら、宝玉を天蓋の額に近づけていた。

 季節は春、彼岸の中日。
 乳飲み子の頭ほどの大きさの球形の石が、生気の無い天蓋の顔を青白く照らす。むせ返るような血の匂いが、木蘭の見事な銀髪を嬲った。

 父なる無限よ
 母なる永劫よ

「木蘭……もはや宝玉は空だ」 
 天蓋が口を開き、ごぼっと音を立てて赤黒い塊が流れ落ちる。
「死ぬな。天蓋、死んではならぬ」

 我が刹那たる命を捧ぐ
 汝が器を用い

「もういい。ただ己のことを覚えていてくれ」 
 天蓋が、全てを悟りきった表情で微笑む。
 雲から満月が顔を見せ、月影が銀髪の少女と瀕死の男を照らす。
「死ぬな。許さぬぞ」
 天蓋を抱きかかえ、木蘭は祈り続ける。自らも失血で意識が朦朧とする中、全身全霊で祈る。
 
 この男の命を救いたまえ

 天蓋の双眸から急速に光が失われていく。ひび割れた唇が、もう一度だけ動いた。
「木蘭、己のことを覚えていてくれ」
「天蓋、逝くな。死んではなら――」
 
 木蘭の意識は、そこで暗転した。
 
 どこからか野犬の遠吠えが、風に乗って聞こえた。

小説 如月の宝玉(きさらぎのほうぎょく) 目次

2008年09月20日 00:00

 最初からご覧になる方は「如月の宝玉 (全章を読む)」を、各章を個別に読まれる方はその下の小項目をクリック下さい。
 あらすじや本サイトご説明については、下段欄外の「HOME」をクリック下さい。ブログのトップページに移動します。(トップページにも目次に戻るリンクを貼っています。)
 またキャラ画像にご興味ある方は、ビジュアル強化計画をクリック下さい。

 最後に、感想等ございましたら拍手ボタンをクリック後のコメント欄に記入頂けると作者の励みになりますので宜しくお願い致します。(ブログ内に拍手のお返事ページを作っています。)

如月の宝玉 (全章を読む)

序章 運命の輪
 我が刹那たる命を捧ぐ
 魔障を切り放ち給え
 あたしは結構競争率高いと思うよ
 雪と茶色い子猫と――高校生か

第一章 桜
 必ず男女で組んで下さい
 だれがその連を選ぶのか
 しかも空手なんかやってるから、けっこうやばいかもよ
 俺、先輩のために何でもします
 確かに、麻紀ちゃんには負けるよね
 自己紹介に何書いたんだ?
 見つけた
 では、確かめよう
 縦では、肋骨の隙間に入らないなあ
 二年連続で一人は切ないよ
 私を見たとき運命を感じなかったのか
 警告したからな

第二章 向日葵
 闇の中で人々を喰らっておる
 うーん、男らしくないぞ
 まずは出発だ
 ――って聞いてる? 徹君
 僕たち決めたんです
 ま、それが普通の反応だよね
 鬼ごっこはおしまいか?
 二度とこの子に手を出したら許さない
 俺は司会だ
 盆踊りでも没問題
 さすが去年のナンバーワン
 ちょっとジェラシー
 何か不満でもあるの
 そうかも知れない
 もう許して下さい
 計算は合っています
 ずるい。ずるいよ

第三章 金木犀
 この身を代償にしようとも
 やっぱり水着審査とかあるのかな 
 どうして、その女に気付いたと思う
 そうかあ、安心したぜ
 だから……れないんだ
 結局、お前か
 こんなことを話すつもりじゃなかったしな
 それでは位置について
 その人たちは何でしょう?
 いいじゃないか、やろう
 お前最高だよ
 全くだよ
 魅入られる素地が在り過ぎる
 賭けろ
 私は覚悟を決めたの
 期待してるよ、会場で待ってるからね
 一つ賭けをしない?
 だが、もう戻れない

第四章 プリムラ(前編)
 今でも、夢を見るんだ
 誓うよ
 十一月十八日だ
 でも届かないんだよな
 これは徹には秘密だ
 私を忘れないでくれ
第四章 プリムラ(後編)
 だが、夢の如し――だ
 男気出しすぎかな
 おまえは変わっていないが私は違うぞ
 ずるいのは自分だ

終章 夢見の宝玉
 じゃあ、リーたんから質問して
 そうか、無いか
 あなたに話せていないんでしょう?
 あの言葉は嘘か
 ここから先の未来は私にもわからない
 聞きたいですか、先生
 戦えるわけがない
 おい藤原ぁ、聞いたか
 約束だからね

エピローグ 運命の輪を超えて
 だから、だからきっと
 何と見事な月じゃないか


以下は、本編を読み終わった方への簡単な読み物です。

月の裏で会いましょう(如月の宝玉 another side) 全話を読む

 まえがき
 君はこれをどう思ったかい
 最高の相手を狙わなきゃ
 今年は負けられない
 相違ござらぬか
 なかなかいい男っていないですよね 
 あとがき

続・月の裏で会いましょう(如月の宝玉 another side) 全話を読む

 まえがき
 来週の予定はキャンセルだ
 何かが足りないんだよなあ
 いいよ、先輩と一緒なら
 夢を見ていたんだ
 あとがき

髪は炎の色にして(如月の宝玉 another side) 全話を読む

 まえがき
 第1話 About fifteen years ago 前編
 第1話 About fifteen years ago 後編
 第2話 Between a dream and reality 前編
 第2話 Between a dream and reality 後編
 最終話 Someday, Somewhere
 あとがき

月の裏で会いましょう 3(如月の宝玉 another side) 全話を読む

 まえがき
 リタ、俺と付き合おうぜ
 お前みたいな女は嫌いじゃないぜ
 済まない、冗談だ
 あとがき

春の記憶 如月の夢(如月の宝玉 another side) 全話を読む

 まえがき
 
 如月の夢(前編)
 幕間1
 春の記憶
 幕間2
 如月の夢(後編)
 あとがき
 
月の裏で会いましょう 4(如月の宝玉 another side) 全話を読む

 まえがき
 藤原徹はどこだ?
 空手部に? 俺がですか?
 へー、面白いじゃん。やってみれば
 臭っ! 今日は練習中止で全員部室掃除!
 えっ?
 あんた最近、鼻の下伸ばしてんじゃないの?
 先輩も転校ですか?
 思えばあっというまだったなあ
 あとがき
   

ブログ始めます

2008年09月15日 21:39

今日からブログを始めます。
自分が好きな物語が、あなたにとっても好きなものになれば嬉しいです。


最新記事


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。